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長次郎 俊寛

2021.2.15  長次郎 

昭楽作 長次郎「俊寛」うつし黒茶碗

内箱中央の貼紙に利休墨書とされる「俊寛」の銘があることから、利休自ら名付けた数少ない茶碗の一つとされている。

伝えによれば「俊寛」の名称は、薩摩住の門人が利休に長次郎の茶碗を所望してきたので、三碗送ったところ、この一碗を残して他の二碗を返してき、残したこの茶碗の銘を所望してきたので、鬼界ケ島に一人残された俊寛の故事に因んで名付けられたという。

この茶碗の作行きは、全体に薄く削り上げられ、口部も僅かであるが波うち、胴の一方に幅広い箆目を付けている。これらの特徴は、「大黒」「無一物」等とは異なった作行きで、控えめではあるが造形的な加えられ、同じ特色を備えたたの長次郎茶碗を代表する典型作といえる。確かな伝来は不明だが、室町、三井家の蔵となっている。