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長次郎 東陽坊

2021.2.24  長次郎 

昭楽作 「東陽坊」うつし黒茶碗
重要文化財

利休七種茶碗にかぞえられる黒茶碗で国の重要文化財に指定されている。

箱の表に、利休の自筆とされる「東陽坊」の名がはっきりと墨書されている。
その「東陽坊」の銘は利休の門人で京都の真如堂に住する人物の名で、利休が、その門人・東陽坊にこの茶碗を贈るのに際し、その名を箱に書付けたのであろう。
外箱には、「東陽坊 黒茶碗 利休所持 蓋之書付自筆」と仙叟宗室と文叔宗守が連名で極め書きを記している。

作行は、同じく重要文化財の「大黒」「無一物」とは明らかに異なった独特の姿をしている。
きっぱりと腰を区切って口部にかけて僅かに外へ広がりを見せながら真っ直ぐに立ち上がり、口造りは内に抱え込ませず内側から薄く僅かに丸みをもって削られている。
高台も特徴を持った削りで、その高台は小振りで畳付を幅広く平らに取り、高台内側は小さく円形の削り込んでおり、広く平らな畳付には、目跡がくっきりと五つ残されている。

また、「禿」「万代屋黒」などの、長次郎カセ釉とよばれる艶のない茶褐色の黒釉ではなく、黒楽釉がよく溶けた黒味の強い光沢のある釉調である。
このことからも、「禿」「万代屋黒」のカセ釉の黒茶碗よりもなお高温で焼かれたものと推測されます。