
一碗の中に、空の気配や移ろいを感じさせる
「雨雲」
静かでありながら、どこか力強さを秘めた存在
茶碗「雨雲」
江戸初期の芸術家、本阿弥光悦 による作品で、重要文化財にも指定されている名碗です。
この茶碗は、ろくろを使わず手でかたちを作る「手捏ね」によって生まれました。わずかに歪みを含んだ柔らかな姿は、整いすぎない美しさを感じさせ、光悦ならではの感性が息づいています。
黒釉の深い色合いとその表情は、まるで空に広がる雨雲のよう。見る角度や光によって印象が変わり、静かな景色をたたえています。「雨雲」という銘も、そうした趣から名付けられたのでしょう。

また、茶道家の 覚々斎原叟 が、箱の蓋裏にこの茶碗について書き記しており、光悦の作であることを今に伝えています。
古くは三井家に伝わったともいわれ、長い年月の中で大切に受け継がれてきました。